今回、四半世紀に及ぶ守護町勝瑞遺跡発掘調査の成果を総括するとともに、十年間取り組んだ学際的共同研究「守護町検証会議」での検討をとりまとめた論集を、思文閣出版から刊行しました。
専門分野の異なる13人の研究者が、それぞれの方法で勝瑞遺跡を照射する内容で、当該研究の現時点での到達点を示すものとなっています。
しかしその一方で、一つの遺跡を異なる分野から多角的に検討した結果、多くの課題が浮彫になってきたことも事実です。
今回のシンポジウムでは,論集の編集過程で再認識された、「今も解明されていない課題」、「論者によって見解が分かれる課題」にテーマを焦点化し、踏み込んだ議論を行いたいと考えています。
阿波国は、権力者の交代や政治体制の変容にも関わらず、終始、一国単位で政治活動が展開した希有な地域です。このような「純粋培養」的なフィールドを素材に、同時代に展開した他地域の事例との比較検討も踏まえ、政治都市の構造と社会、また、その変遷過程をあとづけることは、都市研究の進展に寄与するものと考えます。また、このような議論のなかで、守護所・戦国城下町における「阿波モデル」を提示していきたいと思います。
以上の課題意識にもとづき、「城下町科研徳島研究集会U」を行いますので、ふるってご参加いただき、忌憚のないご意見、御指導をお願いします。
第1日目 8月26日(土) | ||
13:00〜 | 趣旨説明 | |
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報告1「発掘調査から考える守護町勝瑞の構造」 | 重見高博(藍住町教育委員会) | |
13:50〜14:30 | 報告2「文献史学から見た細川氏、三好氏の権力構造」 | 古野 貢(武庫川女子大学) |
14:40〜15:20 | 報告3「勝瑞と宗教 顕密寺院・修験道より」 | 長谷川賢二(徳島県立博物館) |
15:20〜16:00 | 報告4「勝瑞を取りまく村・町・モノ」 | 島田豊彰 |
16:00〜16:40 | 報告5「土佐の守護所・城下町」 | 目良裕昭(南国市立香南中学校) |
18:00〜 | 懇親会 | |
第2日目 8月27日(日) | ||
9:00〜9:40 | 報告6「大内氏の守護所・城下町」 | 増野晋次(山口市教育委員会) |
9:40〜10:20 | 報告7「美濃の守護所・城下町 革手・福光・大桑・井口」 | 内堀信雄(岐阜市教育委員会) |
10:20〜11:00 | 報告8「勝瑞館の景観と権威空間としての意味」 | 小野正敏(人間文化研究機構) |
11:10〜12:10 | コメント「守護所・戦国城下町の形成と変容」 | 福家清司(徳島県埋蔵文化財センター)
山村亜希(京都大学) 中西裕樹(高槻市立しろあと歴史館) 仁木 宏(大坂市立大学) |
13:10〜15:40 | パネルディスカッション | コーディネーター
須藤茂樹(四国大学) 石井伸夫 |